193-参-法務委員会-003号

平成29年3月22日

平成29年3月22日の法務委員会にて、質疑時間20分で以下3点のトピックに関して計5問の質疑を副大臣等に行いました。

  1. 「弁護士保険の更なる拡充や周知の必要性」
  2. 「提訴手数料の低額化(低廉化)・定額化の必要性」
  3. 「我が国における判例の全面開示の必要性」

○元榮太一郎君 おはようございます。自由民主党の元榮太一郎でございます。

本日は、金田大臣、盛山副大臣、そして井野政務官始め政府参考人の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

早速質問に入ります。

私は、司法の強化というのが非常に重要だというふうに考えております。安倍総理も、世界の普遍的な価値観として、自由と民主主義に加えて法の支配というものを掲げています。私も非常に重要だと思うんですが、この足下の日本において本当に法の支配は貫徹されているのか、司法はもっと身近になるべきではないか、そういうような観点で今日は幾つか質問させていただきたいと思います。

まず一つ目は、弁護士保険の更なる拡充や周知の必要性でございます。

お手元の資料一の一を御覧いただきたいと思います。適切な調査資料がございませんでしたので、私が運営する弁護士ドットコムのアンケート結果となっております。毎年、電通やマクロミルを使って意識調査をしているわけですが、最近一年間に以下のようなトラブルで困ったことはありますかということで、法律トラブルに遭った方の数を調べております。パーセンテージなんですが、全体のうち二〇・八%、これを人口に直しますと約千七百万人が一年間で何らかのトラブルに遭っているということになっています。平成二十七年の十一月調査でも二二・一%、千八百万人ぐらいとなっております。

それでは、そういうような方々の中で実際に弁護士に相談した人はどのくらいですかというのが資料の一の二になります。こちらについては、二三・八%というのが平成二十八年十二月調べ、平成二十七年十一月調査ですと一九・〇%ということになっております。

昔から、この司法の世界では二割司法と言われる、本来弁護士がサポートするべき、司法を活用するべき案件のうち僅か二割しか実際に司法的救済がされていない、このような言葉がずっと語り継がれていたわけですが、これだけ弁護士が増えてもなおまだ約二割の方々の利用にとどまっている、そういうような調査結果と私は受け止めています。

実は、こういうようなところで更なる質問が一の三ということになるんですが、なぜ弁護士に余り相談したくないのか、全く相談したくないのかに対する回答が、七八・七%が費用が高い、相談でも法律相談料を請求されそうと。いわゆる費用面が理由で弁護士に相談したくない、このような方が多いことになっています。つまり、心理的なハードルと経済的なハードルが弁護士の利活用にハードルとしてあるのだとしたら、かなり経済的なハードルが高いんじゃないかということになります。

オーダーメードの弁護士の仕事なので、やはり実働がかさんで数十万円になってしまう、こういうような問題があるわけですが、一部の方々には法律扶助という制度が従前からあります。基本的には、生活保護を受けているような家庭を中心として弁護士費用や裁判費用を立て替える制度、基本的には立て替える制度であって、救済的な政策であります。

そして、もう一つ、弁護士の保険が挙げられます。これは、いざというときの弁護士費用を保険から支給される商品でして、平成十二年に商品化された商品です。弁護士のアクセスルートの一つということで、日本でも少しずつではありますが、普及をスタートしております。月額の保険料を払っていくと、いざというときの一時的な弁護士費用という出費を保険で賄いますので、支払が平準化されます。そういった意味で、健康保険、医療保険の弁護士版のような意味合いを持つわけです。

実は、弁護士の数が増えた、そのような国においてはこの弁護士保険の普及が始まっていまして、諸外国を見てみますと、ドイツでは二〇〇九年の時点で約四二%の世帯が弁護士保険に加入しています。そしてまた、イギリスでは二〇〇七年の時点で人口比で五九%弁護士保険に加入しているということがありまして、このようなリーガル先進国においては、訴訟費用のハードルを下げる、弁護士費用のハードルを下げると、このような効果が実現しているというふうにも言えるんじゃないかと思います。

実は、日本においても、一部の保険は弁護士費用保険として非常に普及しております。それが、資料二にありますとおり、自動車保険の弁護士費用特約です。この自動車保険の弁護士費用特約は非常に普及をしておりまして、棒グラフで御覧のとおり、二〇一五年度においてももう既に二千四百万件ということになっております。

そして、それに呼応するように、交通事故の損害賠償訴訟の推移も、資料三にありますとおり、急増しているという関係性があります。私も弁護士をやっておりますので、私の事務所でも、やはり今までですと、物損事故、数十万単位の請求金額ですと弁護士費用倒れをしてしまうということで、基本的には弁護士に依頼が来ない、その結果、当事者は、被害者は、しようがないなということでいわゆる泣き寝入りに近い状態になっております。こういうような場合でも、弁護士費用特約を付けていると、その被害者の方、交通事故の当事者に持ち出しが発生しないので、その利活用が進んだ結果、交通事故訴訟もこのような形で拡大してきているということになっています。

何か、やはり法の行き渡る社会の中でしっかりと道理を通したいという方が交通事故においては権利実現ができるような社会になってきていると思うんですが、私としては、これをもっと全分野に広げていって、本当の意味での法の支配が行き渡った、そんな社会にしていくべくこの弁護士保険というのは大いな可能性を秘めていると思うわけであります。

そこで質問となりますが、平成十三年六月に司法制度改革審議会がまとめた司法制度改革審議会意見書では、「民事司法制度の改革」の一つの「裁判所へのアクセスの拡充」の「利用者の費用負担の軽減」において「訴訟費用保険」の項目が設けられ、「国民の司法へのアクセスを容易にするための方策として、訴訟費用保険が普及することは有意義であり、引き続き、このような保険の開発・普及が進むことを期待する。」と、このようにされています。同意見書では訴訟費用保険でありますが、これは弁護士保険と同じことかと思います。

このように期待されているわけですが、この意見書の記述について、現在の法務省としての御見解を伺いたく思います。

○副大臣(盛山正仁君) 元榮先生御指摘のその司法制度改革審議会意見書というもので、当時我が国では主として自動車保険等の賠償責任保険の領域である程度普及していると、ある程度というふうに、当時は平成十三年でしたのでなっておりましたけど、先生の資料にもありますとおり、今この自動車保険についての弁護士保険、こういったものが相当普及しつつあると、そんなふうに私たちはこれは理解しております。

先生おっしゃるとおり、そのリーガルサービス、ここに対してのハードルを下げていくというんでしょうか、リーガルサービスへのアクセスを容易にするための方策として訴訟費用保険が普及することは有意義であると、私たちはそのように考えております。

引き続き、これは民間の方でやっていただくことになりますけれども、このような保険の開発そして普及が進むことを期待していきたい、そんなふうに考えております。

○元榮太一郎君 大変ありがとうございます。

民間の方での御期待ということでありますが、例えば、この弁護士保険の普及のために日弁連の弁護士保険に関するパンフレットなどを法務局、警察署や各自治体の窓口などに置いてもらい周知を図る、こういうことに対する御協力も可能性としてはあるかと思うんですが、その点についての法務省の御見解も伺いたく思います。

○副大臣(盛山正仁君) どのようなことができるのか、日弁連さんのパンフレットがいいのか、あるいはほかのものがいいのかを含めて、これはちょっと検討させていただきたいと思います。

○元榮太一郎君 ありがとうございます。

今までも民間の保険の普及に対していろいろ協力した事例があるかと思いまして、つい先日の報道でも、フリーランサーを支援するため、個人事業主ですね、失業や出産の際に所得補償を受け取れる団体保険の創設を提言し、政府はその普及に向けて積極的に支援をしていくと、このような報道もありました。

また、自動車保険、交通事故戦争が起きたあの二十世紀の時代に、この自動車保険の普及のために、具体的な取組としては、自動車教習所の教材や交通安全協会が配付する安全運転のしおりなどの中に賠償資力の確保の必要性を訴える文章を入れてもらっていた事例もあるというふうに聞いております。

私としては、やはり自助努力の中で法の支配が行き渡る、そのような社会のためにこの民間の保険の普及の必要性について御認識いただいているかと思いますので、何らかの形で御検討いただけるよう強くお願いを申し上げたいと、このように思っております。

続きまして、もう一つ経済的なハードルのところがありまして、これが提訴の手数料ということになります。御存じの方も多いと思いますが、弁護士費用というのは弁護士を依頼する費用であって、それで裁判手続を利用する際には更に裁判所に一定の手数料を払うわけですが、これが平成四年と平成十五年の二度にわたって改正をされているものの、十分な低い金額化がなされたとは言えず、今はこの資料四のとおり上限のないスライド制が維持されたままとなっています。一千億円の訴額を請求するケースも少ないのかもしれませんが、その場合は提訴手数料が一億になってしまうということで、例えば訴額一億円のケースだと三十二万円、五億円だと百五十二万円となります。こういうような形で、大抵、請求訴訟を起こすときは持ち出しになるわけで、そこの手数料というものは一定の判断要素としてこの請求者に非常にプレッシャーとなるわけです。

私としては、このスライド制という提訴手数料にある、この導入している理由の一つとして、やはり濫訴の防止の効果というものが訴えられているわけですが、諸外国で見てみますと、実は上限のないスライド制じゃない国も多くあるわけです。例えば、アメリカですと、連邦地方裁においては訴額にかかわらず一定額、三百五十ドルとなっています。そしてまた、フランスでは何と手数料が無料ということになっていて、余りそういうような国において濫訴というようなことが問題視されているという話は私の耳には届いていないわけであります。

したがいまして、平成十五年の法改正から相当の年月も経過しておりますので、もう一度見直しを検討してもよいのではないかなと個人的には思うわけですが、国民の裁判を受ける権利を実質的に保障する観点、そして国民に利用しやすい民事裁判を提供する観点から、現行の提訴手数料を見直しをして、大幅な手数料の低廉化と、そして手数料がより簡明なものになるように一定額化、これを再検討する時期に来ているのではないかと思いますが、法務省の御見解を伺いたく思います。

○副大臣(盛山正仁君) 元榮委員の先ほどの御指摘の弁護士料、これが高いということをどのようにしていくか、そういった中での保険の活用、こういったことが大変まずは重要であると思っておりますが、同様に、弁護士料とは別に、今、元榮議員が提起をされました提訴の手数料、これについてもやはり低額化、低い形の低額化をしていく、あるいは、先ほど先生御指摘されたようにアメリカのような一定の金額の定額化をしていく、これも大事なことであると我々としても認識はしております。

しかしながら、民事訴訟の提訴手数料の制度は、裁判制度を利用する方にその制度の運営費用の一部を負担していただくということが当該制度を利用しない方との対比において負担の公平にかなうということ、そして副次的に濫訴の防止という観点も考慮してできている制度でございます。

訴額に応じて手数料の金額が増加をするという現行のスライド方式は、裁判制度利用者相互間においても、取得可能な利益の多寡に応じて手数料の額に差を設け負担の公平を図るとの観点から、合理性があるものと我々は認識しております。

しかしながら、提訴手数料を低額化、低い方にする、あるいは一定の金額にする定額化、双方のテイガク化につきまして、委員の御指摘も踏まえまして今後とも慎重に、そして前向きにどのような検討ができるか考えていきたいと思っております。

○元榮太一郎君 ありがとうございます。

訴訟物の価額と実際の民事裁判に掛かるコストというのは、必ずしも比例していないというのが実務の現場だと思います。そして、濫訴防止の効果については、例えば少額訴訟手続ですと、利用回数が一人年間十回までに制限されているとか、また、これはちょっとどうかなとも思うんですが、フランスですと濫訴の訴え提起に対して一定の罰金を科する制度があるという話も聞きますので、いろいろな多面的に御検討いただいて、是非経済的ハードルを下げていただくということについて御検討いただきたく思います。

そして、もう一つなんですが、経済的なハードルとは別に、やはりもっと見える司法という形で司法を身近にしていく観点において、積極的な情報公開というものが求められるかと思いますが、当然、法律やその他の下位規範の法令についても積極的に開示していただきたいんですが、もう一つはやはり裁判例の積極開示というものも重要になってくるかと思います。

これからはビッグデータの時代ですので、民間の創意工夫によって、その裁判例、一件一件からすると取るに足らない裁判例も、もしかしたらその集合体として非常に価値を持って、それが司法の更なる進化につながる可能性もあるかと思います。憲法八十二条の第一項でも裁判の公開を定めておりまして、判決書きの公開というのは当然この憲法から読み取れるというふうに思います。

最高裁のホームページ、もう既にいろいろな裁判例は公開されていると思うんですが、アメリカですと、連邦地裁が提供するウエブサービスで、ホームページで確認したところ、数百万単位の裁判例が公開されるということになっています。

この最高裁のホームページについて伺いたいのですが、どのような判決が掲載されているのか、その理由も含めて伺いたく思います。

○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。

裁判所で言い渡される判決等は極めて多数であるとともに、その内容も多岐にわたるところでございます。判決等をホームページに掲載するに当たりましては、当事者や被害者等のプライバシーや掲載されたくないという心情にも配慮する必要があることから、一定の範囲の判決を掲載しているところでございます。

その掲載するかどうかということにつきましては、先例としての価値、重要性や社会的関心が高い事件であるということを考慮して決しております。先例的価値が高いと解される判決等は国民生活等に影響を与える可能性が高いと考えられますし、社会的関心の高い事件は速報性や広い意味での広報という意義に沿うものであるというふうに考えているところでございます。

○元榮太一郎君 ありがとうございます。

そういうような条件で判例を公開いただいているということですが、是非掲載対象の範囲を広げる方向で考えていただきたいと思います。

司法制度改革審議会の意見書でも、判例情報をプライバシー等の配慮をしつつインターネット、ホームページ等を活用して全面的に公開し提供すべきであるというようにも書かれておりますので、今後更なる情報公開を強くお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

ありがとうございました。

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