193-参-法務委員会-004号

平成29年4月6日

平成29年4月6日の法務委員会にて、質疑時間20分で以下2点のトピックに関して計5問の質疑を副大臣等に行いました。

  1. 刑事告訴の迅速・的確な対応の徹底の必要性について
  2. リーガルテックへの対応の必要性について

○元榮太一郎君 おはようございます。自由民主党の元榮太一郎でございます。

前回の委嘱審査に続きまして、司法の強化、そして法の支配の貫徹の観点から、本日は、刑事司法の強化に関してまずは御質問させていただきたいと思います。

刑事司法に対する信頼強化も非常に重要なことは当然のことだと思います。法を犯した者が適正に処罰をされることで初めて安心、安全な社会がつくられるということであります。しかし、弁護士の仲間からは、刑事告訴の現場で受理されてから一年、二年掛かっているような案件が散見される、このような話もお聞きします。

刑事告訴は、犯罪の被害者などが捜査機関に対して犯罪事実を申告して加害者の処罰を求める意思表示をいいますが、やはりこの処罰感情が大きいケースが多くございます。まず、弁護士は被害者から相談を受けて警察署に掛け合って告訴を受理していただきますと、今度は刑事訴訟法の第二百四十二条によって、司法警察員は告訴を受けたときは速やかにこれに関する書類及び証拠を検察官に送付しなければならないということで、いわゆる警察官、司法警察員には捜査義務と迅速な検察官への送付というものが義務付けられていることになります。

そこで、検察官への送付の目標期限というのが実は定められておりまして、それがお手元の資料の一の一、一の二になります。

例えば広島県ですと、このマークアップされている、告訴事件の処理はおおむね三か月以内に行い、送検しなければならないという趣旨の通達があります。そしてまた、私の地元の千葉県におきましても、二枚目になりますが、一の二、事件の受理日から六月以内に捜査を終結して検察官に送付ということとなっております。そしてまた、それ以外の都道府県においても、明確には目標期限が定められていない県においても、例えば岐阜県においては、特別の理由のあるもののほかは特に速やかに捜査を終え関係書類及び証拠物件を検察官に送付することとされております。

このようにいろいろな、態様は様々ではあるんですけれども、検察官への速やかな送付のためには、三か月や六か月を一つの目安としているように思われます。

そこで、警察庁に伺います。

告訴が受理されたとしても、刑事告訴から検察官に送付されるまでに、とりわけ詐欺や横領といった知能犯罪に関してはかなりの時間が掛かっているようなケースもあります。検察に送付されるまで、告訴受理後ですね、実際どのくらいの期間が掛かっているのか、近年の司法警察員への告訴の件数の推移も含めまして御説明を伺います。

○政府参考人(高木勇人君) お答えいたします。

平成二十四年から二十八年までの間に各都道府県警察の知能犯捜査部門が受理した告訴、告発につきましては、平成二十四年千九百五十八件、二十五年二千二件、二十六年千八百三十八件、二十七年千八百九件、二十八年千九百二十六件と、おおむね横ばいとなっておる状況でございます。

平成二十八年に処理された千八百六十八件について、その処理に要した期間を見ますと、受理後三か月未満で処理したものが約二八%、三か月以上六か月未満が約一四%、六か月以上一年未満が約一七%であり、これらの合計すなわち約六〇%が一年未満で処理されておりますけれども、一方、受理後一年以上二年未満で処理したものが約一九%、二年以上処理に要したものが約二二%となっている状況でございます。

○元榮太一郎君 ありがとうございます。

配付資料二のとおり、知能犯罪の刑事告訴の件数はおおむね横ばいとなっていることなんですが、御答弁のとおり、検察官への送付までに要した期間としては、一年未満の件数と捉えても全体の約六割にとどまっているということで、やはり通達の趣旨、方針から離れて長期化している印象を受けます。

依頼者は、処罰感情が大きいということでやはり弁護士に依頼しているので、なぜ事件が動かないのかということで問合せを受けることがありまして、これはやはり刑事司法の信頼に関わる一面もあるかなと思っております。この短期化がよりできれば、国民からの警察、司法に対する信頼がより強いものになるんじゃないかなと私は思うわけです。

そこで、告訴の取組強化のために各警察署も警察署告訴・告発センターというものを設置されており、告訴の相談や受理、不受理の判断が迅速になされるような判断整備もされているかと思います。そして、警察本部においても、本部告訴・告発センターを設置して警察本部における告訴対応を行うほか、各警察署に対して未処理事件の解消に必要な指示、指導を行っていると伺っております。

この刑事告訴受理後の処理期間の短期化のために、本部から各警察署に対して、事件処理の目標設定やその目標達成のための施策を立てるなどのより実効性のある対策を行うことはできないのでしょうか、警察庁に伺います。

○政府参考人(高木勇人君) 処理期間の目標を設定して進捗を管理していくといったことも一つの方策であるものと考えておりますけれども、告訴、告発の迅速かつ的確な処理のために特に必要な重要な点は、警察署幹部による指揮の徹底と警察本部による警察署に対する指導、支援であるものと認識をしております。

そのため、警察本部に、委員御指摘のとおり、本部告訴・告発センターを設置しているほか、知能犯捜査を専門とする捜査第二課に告訴専門官を置くなどして体制を確立し、警察署において取り扱っている告訴・告発事件について、個々の案件の進捗状況に即して具体的な指導を行うほか、警察署の捜査体制が不足するような場合には捜査員を応援派遣するなどの対応を行っているところでございます。

迅速、的確な処理がなされるよう、警察庁として都道府県警察を指導してまいる所存でございます。

○元榮太一郎君 ありがとうございます。

被害に苦しんでいる方にとってみると、犯人の処罰を求めることは、まさにこの点において検察、警察は最後のよりどころであると思います。告訴を、その後の処理を的確、迅速にすることが、検察、警察に課された責務ではないかと思います。

そこで、この告訴についての的確な受理そして処理の重要性を再度御認識いただき、被害者と国民に寄り添った対応の徹底をお願いしたいと思いますが、警察庁、そして法務省からは同じ弁護士としていろいろな御経験をお持ちの井野政務官から御答弁いただきたいと思います。

○政府参考人(高木勇人君) 御指摘のとおり、告訴、告発をした被害者や国民の立場を十分考慮して捜査を推進することが重要と認識をしております。

今後とも、告訴、告発に対する迅速、的確な対応を徹底するよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

○大臣政務官(井野俊郎君) 元榮先生には大変日頃から御指導いただいておりまして、私も同じ弁護士として、元榮先生のような御経験というか、同じような経験をした思いを持っておるところでございまして、本当に先生のお気持ちが大変よく分かるところでございます。

検察当局においても、警察当局に告訴、告発がなされた場合は、必要に応じて事前協議を行うなどして検察当局への事件送付が適切になされるように努めておりまして、事件送付を受けた後においても、鋭意必要な捜査を続けた上で処罰を適切に処理しているものだというふうに考えているところでございますが、当然、検察当局に対してももちろん告訴、告発がございまして、こういったものについても、要件を欠く以外の事情がない限りは適切に処理しているというふうに考えているところでございます。

いずれにしても、被害者の方や犯罪の存在を認識した方が犯人処罰を求める心情、これは十分理解しているところでございますので、今後も、こういった告訴、告発の趣旨を理解した上で適切に対応していくようにこれからも、先ほどの検察、警察との協力をしながらしっかり取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。

○元榮太一郎君 熱のこもった、身に余るお言葉をいただきましてありがとうございます。私、機会があれば、またこの点についても進捗等々を確認させていただけたらと思います。

続きまして、がらりとテーマは変わりますが、第四次産業革命ということで、アベノミクスの成長戦略の一つに位置付けられていますIoT、AI、ビッグデータ、こういうような最先端の技術の活用によって新しいサービスそして経済成長を生み出そうと、そういうような考え方であります。この波は、流れは司法の世界にも全く例外ではないと私は考えています。

最近、アメリカの方から出てきている言葉として、情報技術、ITを利用して法律に技術革新をもたらすリーガルテックという、こういう言葉が生まれて広がりつつあります。まだ御存じない方もいらっしゃるかと思いますが、最近フィンテックという言葉はかなり新聞や報道等でも見かけると思います。金融にインターネットの技術を掛け合わせて金融をより身近で便利なものにしようということです。スマートフォンでいろいろと決済ができるようになったのもフィンテックの一つですし、最近ですと、家計簿のツールがありまして、スマートフォンのカメラでレシートを撮影しますと、その情報が家計簿アプリに反映されて収支の確認がしやすいとか、このような形で劇的に金融や家計の現場でイノベーションが起きているわけです。それの法律版、司法版、これがリーガルテックということであります。

資料三の一にリーガルテックに関するものをまとめていますが、サービス内容は多岐にわたるんですけれども、法律専門家のアクセス支援だったり、法的な文書、契約書などの作成支援、裁判の手続支援、紛争やトラブル、法律の悩みの解決支援、そういうようなものにいろいろと分類されていて、そこで使われている技術もやはりAI、人工知能だったり自然言語処理などなど、いろいろと最先端の技術になっているわけです。既にアメリカで展開されているサービス、イギリスで展開されているサービスを例に挙げるとイメージが付きやすいと思います。

ロス・インテリジェンスという会社、二〇一四年創業ですが、これは、破産に関して訴訟のリサーチを弁護士がするときに、人工知能に基づいて、もう大量の、数千件の関連判例から、質問に対して、担当する事件に役立つ内容を抽出した上で、このくらいの確信度ですよというデータとともに回答してくれるというものです。関連の資料も表示されるということで、回答が的確であれば承認ボタンを押して保存し、そうでなければ、却下を押すとまた、これではどうでしょうかというような情報が出てくるということで、これは弁護士の労働時間を劇的に軽減したと言われているものであります。

そして、資料三の三ですが、ドゥー・ノット・ペイという、これは二〇一五年、イギリスでリリースされておりますが、交通違反の切符の異議申立てを行うためにつくられた世界初のAI弁護士ロボットと言われておりまして、交通違反の切符を切られたときに、チャット形式、最近LINEだったりいろいろなチャットツールがありますが、あの形式で質問に答えていくと、AI弁護士ロボットが、違反切符が取消しとなった過去の類似事例などの異議の申立てに必要な情報及び異議申立ての申請書まで画面に御丁寧に表示してくれるというものでして、実際に二十五万件の相談を受けて十六万件の違反切符を取消しにしたというような実績があって、いろいろとほかのサービスにも展開していくということのようです。

そして、日本でも、二〇〇三年に創業したフロンテオという会社は、アメリカの民事訴訟手続などで証拠開示を求める手続、ディスカバリーというもの、これは海外展開する日本企業、米国展開する日本企業も当然巻き込まれるわけですが、その際に、社内の膨大な資料の中から適切な証拠を抽出するという、数百万単位の書類の中からお目当ての書類を見付けるとか、この膨大な作業を人工知能に委ねることによって劇的に弁護士の業務量を軽減して、企業にとっての弁護士費用の負担も軽減しているというものであります。

このような動きがある中で、資料四、弁護士法七十二条というような法律があって、弁護士以外が有償で法律業務を行うことを簡単に言うと禁じている条文があります。そうしますと、先ほどのドゥー・ノット・ペイのようにAIが有料で顧客との法律相談を行う場合、これはこの七十二条との関係でどうなるのかと、こういうような問題といいますか、今まで考えも付かなかったようなことになっておりまして、一九四九年の弁護士法制定時に想定できなかった、そういうような時代になっております。

私としては、このようなリーガルテックによって利用者にとって身近な司法、法律になって、そしてまた経済的ハードルも下がる、そしてリーガル市場の拡大も期待されます。オンラインで契約をガイダンスに従って作成する、そのようなオンライン契約マーケットというのがアメリカにありますが、もう既に数千億円の市場規模になっていて、二〇二〇年には兆の、三兆円になると、こういうような試算もあるぐらい、経済成長を後押しする効果もあるかと思いますし、また、二割司法という、今までずっと叫ばれていた、実際に弁護士や司法が救済するべき案件のうち僅か二割しか実際に司法サービスが利用されていないということに対する解決肢にもなるかと思います。

是非このような新しいリーガルテックという流れを法務省としても普及に向けて検討すべき時期に来ているのではないかと思いますが、法務大臣の御見解を御教示いただければと思います。

○国務大臣(金田勝年君) 元榮委員が御指摘のリーガルテック、これはリーガルとテクノロジーの造語であるというふうに承知しておりますが、法律サービス等の分野で人工知能といったような最先端のIT技術を活用するものであると、このように理解しております。その想定される具体的な内容というのは様々なものがあるものと認識をいたしております。

弁護士等の提供する法律サービスにおけるIT技術の活用につきましては、それが国民全体の権利利益を損なうことなくサービスの質の向上に資するものであれば普及が進むことは望ましいのではないかと、このように考えておる次第であります。

○元榮太一郎君 心強い御答弁をありがとうございます。

私としては一つ思い出すことがありまして、最後に御質問させていただきますが、検索エンジンのときにやはり、もう本当にグーグルや、そして最初はヤフーもあったんですけれども、基本的にはもう国外勢がまさに今この日本の市場も席巻しているわけですが、このリーガルテックに関しても、世界はもう始まっていますので、迅速に対応するべきだと思いますし、当時、検索エンジンのときは、著作権法の複製権侵害になるんじゃないかという解釈で私の顧問先のベンチャー企業さんもその手の領域においては非常に萎縮効果があったというふうに聞いています。

そこで、是非とも、この新規ビジネス創出を阻害している可能性があるかもしれないという、そういう著作権法の利用をめぐって制度が過度に個別的で限定列挙だった、こういうようなことで、法律というのは非常に重要だと思うんですが、リーガルテックにおいても同様のことにならないように是非政府としても御検討いただきたいと思います。最後に一言だけ御答弁いただけたらと思います。

○政府参考人(永山裕二君) 文化庁といたしましても、デジタルネットワーク化の進展に伴います新しい産業の創出等のニーズに的確に応え、将来の変化にも柔軟かつ適切に対応ができるよう、著作権制度の適切な柔軟性を確保することが重要だというふうに認識しております。

このため、先生御指摘のような権利制限規定の問題も含めました具体的な制度の在り方につきまして、現在、文化審議会におきまして検討を行っているところでございます。検討の状況も踏まえまして、具体的な制度整備を図っていきたいというふうに考えております。

○元榮太一郎君 ありがとうございます。質問を終わらせていただきます。

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